墓石に使われる石は世界各国で産出されており、中にはブラジルや南アフリカ、スウェーデンなどから輸入されているものもあります。日本でよく使われるのは中国材、インド材、国産材の3種です。一般に中国材、インド材、国産材の順に価格が高くなりますが、石の種類によっては必ずしもそうは言い切れません。
概して黒い石は白い石に比べて吸水が少ない傾向にあります。また、吸水量が同じ程度でも、石の色によって目立つ場合とそれほど目立たない場合があります。注意して頂きたいのは、吸水の少ない石が必ずしも良質の石ではないという点です。高級国産材の中にも吸水率の高い石はいくらでもありますが、吸水があるからと言って経年劣化が特に激しいという事もありません。ただ、部分的に水を吸った墓石は、見た目が悪いという事は言えるかもしれません。
石の重さは通常「比重」によって表します。比重とはある体積の水の重さを1とした場合に、同じ体積でどの程度の重さになるかを示す値です。たとえば比重2.9の石は、1㎥(水の場合は1トンです)で2.9トンの重さになります。例外はありますが、比重の高い石(重い石)は比重の低い石(軽い石)に比べ吸水が少なく、硬い傾向にあります。
傾向として黒い石の方が硬いということが言えます。硬い石はその分加工が難しくなりますが、丁寧に加工すればよく艶が出るという特徴を持っています。ただし、石の硬軟によって痛み具合に大きな差が出る、という事はありません。
最近の墓石は殆どが御影石で作られています。本来、御影石とは神戸市御影から産出される花崗岩の事ですが、通常「御影石」と言えば花崗岩の石材一般を指します。ちなみに、神戸市御影から産出される御影石は、「本御影」と呼んで区別しています。
古い墓地で見かける苔生した墓石や土蔵の壁に使われているのは、火山灰が固まって出来た凝灰岩です。比較的柔らかいため加工が容易ですが、風化しやすいので現在では墓石に使われることは殆どありません。